技能実習制度を本格的に見直しへ

技能実習制度

私も長く「技能実習」や「特定技能」という在留資格に係る仕事をしていますが、何度も制度の趣旨と実態が乖離(かいり)していると思っていました。

技能実習の基本理念

技能実習制度は、我が国で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として創設された制度です。

技能実習法には、技能実習制度が、このような国際協力という制度の趣旨・目的に反して、国内の人手不足を補う安価な労働力の確保等として使われることのないよう、基本理念として、技能実習は、

①技能等の適正な修得、習熟又は熟達のために整備され、かつ、技能実習生が技能実習に専念できるようにその保護を図る体制が確立された環境で行わなければならないこと、
②労働力の需給の調整の手段として行われてはならないこと

が定められています。

技能実習制度は「国際貢献のため、開発途上国等の外国人を日本で一定期間(最長5年)に限り受入れ、OJTを通じて技能を移転する制度」とし、日本で習得した技術を実習期間の修了後、母国で技術移転をしなければなりません。しかし、「技能実習」⇒「特定技能」の在留資格が認められ技術移転することなく、日本で次に人手不足を補うための在留資格「特定技能」で就労することが可能となっています。

そこで今回、古川法務大臣は技能実習生制度の本格的な見直しを検討すると発表しました。技能実習生に対する問題はたくさんあります。
・技能実習生への人権侵害(暴行や暴言)(行動の制限等)
・送り出し機関への高額な手数料
・監理団体への毎月の監理費(監理費相応の対応をしてもらえない)
・実習内容の制限が多い
などなど、実際に技能実習生を受け入れている企業の皆さんはお分かりいただけると思いますが、実際に技能実習生を受け入れるための運用と、外国人技能実習機構が求める制度の運用では制限が多く問題に当たることも多いと思います。もちろん残業代を支払わないなどは、そもそも制度以前に受け入れる企業に問題があると思います。そして送り出す国で支払う手数料も高額になり、技能実習生が借金を背負い日本に入国していることは、昨日のブログでもお伝えしました。

ですので、きちんと実態と制度の乖離部分を確実に把握していただき、本当に技能実習生が求める制度、受け入れる企業が求める制度をヒアリングしていただき、きちんと制度に沿った内容で運用できるようにしていただきたいと、本当に思います。

本日も最後まで読んでいただき、
ありがとうございます。

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