偽造在留カードが増える訳
兵庫、埼玉の両県警は7月、中国籍の男女2人を出入国管理法違反(在留カードの偽造)の容疑で逮捕しました。(朝日新聞デジタルの記事より)
捜査本部は4月、偽造在留カードの製造拠点とみられる埼玉県川口市の集合住宅の一室を捜査し、プリンターや材料のカード2千枚、ホログラム1万2千枚などを押収しました。
パソコンには約1800件の客に関するデータが入っていたといいます。
偽造在留カードはSNSで注文を募り、ベトナム人らに1枚1万~2万円で販売していました。2人はほかに運転免許証や健康保険証、年金手帳も偽造し、4月までの約半年に400万の報酬を受け取っていました。
押収された在留カードは「定住者」となっていて、職種などが制限される事がなく自由に働くことが出来ます。しかし「定住者」は、
(1)日系人
(2)日系人の配偶者
(3)日系人の未成年で未婚の実子
(4)日系人の配偶者の未成年で未婚の実子
の方が在留資格を有しています。
「定住者」以外の在留資格を持つ方は、就労に制限があります。例えば「留学」は通常、就労(働くこと)は出来ませんが、出入国在留管理局へ届出をすれば、週28時間まで働く事が出来ます。
このように、「留学」「技能実習」など日本に来るために多額の借金をし入国している外国人にとって、働く職種や時間に制限がある場合、思うようにお金を稼ぐことが出来ません。借金返済のために“失踪”し、「定住者」の在留資格を有するため偽造在留カードを購入し、働く場所を探します。
在日ベトナム人の間では好条件の求人情報がSNSで行き交い、不法残留者がブローカー経由で派遣会社に登録して働く事例が多いといいます。
兵庫県でも6月、加東市内の食品工場で働いていた不法残留のベトナム人5人を検挙した際も、人材派遣会社に偽造在留カードのコピーがあり「定住者」と記されていました。
朝日新聞の記事によると、ある人材派遣業者は「借金返済のために少しでも多く稼ぎたいベトナム人と、国内の人手不足がかみ合い、多くの不法就労者が生まれる」と話しています。
不法残留者の多くは元技能実習生と言われています。SNSで簡単に偽造在留カードが入手でき、給料の良い仕事も探す事ができます。私も以前、監理団体で働いていた時も、前日まで通常通り仕事をし寮に帰宅した技能実習生が翌朝、出勤していないとのことで寮に行くと荷物共になくなっていたという事がありました。
失踪する準備ができ夜中にブローカーが迎えに来て出て行ったのでしょう。失踪を仲介する者がいなければ失踪することも出来ません。このように、“偽造在留カード”を入手すれば仕事に就くことができ、借金を返済する事ができます。
外国人を雇用する場合、在留カードが偽造かどうかの確認が必要です。偽造在留カードを所持する外国人を雇用した場合、雇用した企業にも罰則がありますので、十分に注意してください。
【不法就労助長罪】
3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれに併科する。
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