「特定技能」「技能実習」妊娠と出産
たまたま、ネットニュースを見ていると、このようなニュースを目にしました。
「これで有罪になれば大変なことになる」孤立出産で死産した技能実習生の起訴に対して医師が示した危機感
これは熊本県芦北町のみかん農家で技能実習生として従事していた、ベトナム人の女性(22)が、2020年11月に実習先の寮で双子を出産し、死産だったために赤ちゃんの遺体を段ボールに入れ、その箱を自分の部屋に遺棄した罪に問われ、この女性の弁護士は無罪を主張しています。
起訴されたベトナム人の女性は、「妊娠が勤務先に伝わればベトナムに強制的に帰国させられる」と思い込み、妊娠の事実を隠し、自宅で出産しました。弁護側も遺体は段ボール箱の中でタオルがかけられており、名前と共に弔いの言葉がかかれたメモと一緒に安置していたとして、死体遺棄には当たらないと無実を主張しています。
私もブログで何度か「特定技能」や「技能実習」で働く外国人が妊娠し、出産という題材でブログを書かせていただいていますが、この問題は何年たっても解決の糸口がないように思います。
私は今回の事件で、ただニュースの記事を見ただけですが、疑問に思うことが多々ありました。
①父親はだれなのか?
女性一人で妊娠することは不可能です。このベトナム人女性にも、妊娠するに至る男性の存在があるはずです。例えば、日本人なのか?同じベトナム人なのか?交際しているのか?結婚前提の付き合いなのか?配偶者なのか?それとも友人なのかです。男性の存在が全く出てきませんね。
⇒別記より:妊娠の相手は別の職場で技能実習生として働く男性だったことが分かる
②相談できる人は全くいなかったのか?
技能実習生であれば、同じ寮に住む同僚や母国の家族や親族、受け入れ企業や監理団体、外国人技能実習機構、SNSで支援を求めることが出来る団体など、相談しようと思えばできないことはないと思います。現在、新型コロナウィルスの影響で、仕事を失った外国人が日本にある支援先で保護されるなど、各地に支援団体があり、SNSなどで相談することも出来たと思います。
⇒別記より:誰にも相談していないことが分かる
③受入れ企業や同僚は妊娠に気づいていなかったのか?
このベトナム人女性は8~9ヶ月の早産だったとされ、そして双子を妊娠していればお腹も目立つだろうし、大きなお腹でみかん農家で働くことは大変だったと思います。毎日一緒に働いていれば、同僚の変化にも気づくはずですが、この女性は最後まで一人孤立していました。
⇒別記より:受入れ企業の雇い主が妊娠のことを尋ねたが、妊娠の事実を否定した
④帰国を迫られることへの恐怖?
この女性が働いていた農家では、以前にも妊娠し帰国を迫られた実習生がいたのでしょうか?いないとすれば、外部からの情報と噂だけを信じて、誰にも相談せず出産する方が恐怖だと思います。
⇒別記より:妊娠し実習途中で終わらされ、意思に反して帰国されられた実習生はたくさんいるという情報のみ
彼女がしたことは犯罪なのか。あるベトナム人技能実習生の妊娠と死産(1)
彼女はなぜ誰にも相談できなかったのか。あるベトナム人技能実習生の妊娠と死産(2)
妊娠した彼女を独りにしなかった人たち。あるベトナム人技能実習生の妊娠と死産(3)
このようにニュースの記事だけでは、誰にも分からないことが多いと思います。読み進めていくと、分からなかったことや、問題などが浮き彫りになってきます。
外国人技能実習機構も【妊娠し帰国させることは違法です】という注意喚起を行っていますが、具体的な対策は行っていません。私はそこに問題があると思います。
きちんと法律の元、妊娠し出産する権利があることを実習生に伝えていないし、もし妊娠したら相談してください。だけではいつまでたっても、【妊娠・出産=強制帰国】という噂と情報は消えません。
妊娠し出産するまでのプロセスと、妊娠したことで変わる現状や、出産する場所を選べること、日本で出産する場合のリスクと費用など、細かな情報を提供し、そして日本にとどまるか、母国に帰国し出産するかの選択だと思います。それには【相談できる体制】と【正確な情報提供】だと思いました。そして、技能実習生として日本に来るための借金や妊娠などの問題は、この女性の年齢では解決できず、幼すぎたのかもしれません。
このベトナム人女性は釈放されましたが、今後も見守っていきたいと思います。
本日も最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
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