②入管法改正案 在留を認められるべきものを適切に判別する

出入国管理および難民認定法

では、引き続き
①在留を認められるべきものを適切に判別するために、
◆誰を「難民」と認定するのか
◆きちんと審査が行われているか

が大きなポイントとなってきます。

◆誰を「難民」と認定するのか
もし外国人があなたに「私は難民です」と伝えたとします。あなたは、その外国人をどうやって「難民である」と判断しますか?難民と主張するのは本人です。本人が主張する証拠と、外国人の出身国の情報を突き合わながら判断するしか、難民であることの認定はできません。
日本で難民であることの立証の基準が高いと言われ、“難民であることの立証”は難民申請をする本人が、難民であることの証拠や、関係者の証言により自ら立証する必要があります。
申請された難民であることの資料が不十分な場合や立証できない場合は、難民調査官が事実であるかの調査をし、難民の認定が適正に行われることになります。
そして一番の問題は、難民ではない人が申請する「偽装難民」です。就労資格が欲しいために難民申請を繰り返している外国人もいます。そういった申請も1件1件審査していく必要がありますので、本当に難民として認定すべき外国人が認定されない状況があると思います。

【ノン・ルフールマン原則】
生命や事由が脅かされない人々(主に難民)が入国を拒まれるあるいは、それらの場所に追放したり送還されることを禁止する国際法上の原則。追放及び送還の禁止

【ノン・ルフールマン原則】にもあるように、難民であるかの審査中の難民認定申請者も含めて送還が禁止されており、現在の日本の法律(入管法)でも禁止されているため、何度も申請を繰り返す外国人も多くいます。難民認定申請をした者には在留資格「特定活動」が付与され、就労を希望する者には資格外活動の許可が与えられます。原則として就労時間や就労内容に制限がありませんので、「偽装難民」が増える理由と言えます。

◆きちんと審査が行われているか
2020年度の難民認定申請は3,936人、前年に比べ6,439人(約62%)減少しました。このうち415人(約11%)が、過去に難民認定申請を行ったことがある申請者です。
申請者の国籍は67か国にわたり、主な国籍はトルコ・ミャンマー・ネパール・カンボジア・スリランカとなります。
難民認定申請の処理数は5,439人です。そのうち46人が難民と認定されました。難民と認定しなかった者は3,477人、申請を取り下げた者は1,916人となります。

■2020年における難民認定者数等について
■日本における難民庇護の状況等について
■難民として認定した事例等について

1年間でこれだけの申請があり、1件ずつ「難民であるか」の証拠に基づき審査されています。難民であることを証明するための主張する機会が十分に与えられ、きちんとその主張が言葉の問題なく、審査官に伝えられているかなども認定される大きなポイントとなるでしょう。

●難民認定を受けた外国人の権利又は利益
(1)永住許可要件の一部緩和
・素行が善良であること
・独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
の2つの要件を満たせば永住許可が受けられる
(2)難民旅行証明書の交付
外国に旅行する場合「難民旅行証明書」が交付され、この証明書を所持する外国人は有効期間内であれば、何度も日本から出国し、入国することができる
(3)各種の権利
原則として日本国民と同じ待遇が与えられる。就労上の制限もなくなる。日本の国民年金、児童扶養手当、福祉手当などの受給資格が得られる

明日は、
(2)在留が認められない者を迅速に送還する
について説明したいと思います。

本日も最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

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