「技能実習」実習先から脱走した過去

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朝日新聞でこのような記事を目にしました。技能実習生として日本に在留し、東北にある農業分野に従事していた元技能実習生が、大阪で技能実習生らとサッカー大会を開催したという記事です。この男性がここに来るまでいろいろな事がありました。

31歳のベトナム人の男性は2015年11月に技能実習生として日本に入国し、東北にあるキャベツの栽培や収穫に従事しました。同じ作業には多くの日本人も従事していました。受入れ企業が提供した寮は会社近くにある倉庫を改良した部屋に住んでいました。トイレはなくシャワーが1台付いていました。床はコンクリートだったため真冬はストーブを付けても寒かったそうです。
その反面、同じ作業に従事していた日本人は風呂付のアパートが提供されていました。

大きな違いは給与でした。手取りは約9万円。そこから光熱費が引かれました。しかし同じ作業に従事していた日本人は同じ仕事をしていて、彼らの倍の額をもらっていました。大きな「格差」を感じたそうです。

2017年9月、誰にも行先を告げず脱走しました。兵庫県内の友人を頼り2018年6月、付き合っていた日本人女性と結婚しました。大阪府内に引っ越し日本語の勉強を始め、子どもの頃から親しんできたサッカーの大会を開き交流を深めたいと思い、協力者と共に会場の準備を行いました。

2020年秋に京阪神内に在留するベトナム人技能実習生や留学生らで作る計24チームでサッカー大会を開催しました。コロナ禍ではありましたが消毒液を準備するなど配慮しました。その大会ではなるべく自身の過去を伝え、同じ悩みを持つベトナム人同士が打ち明ける場所となってほしいと願っています。

彼には更なる夢があります。それは日本人チームとの交流だそうです。サッカーをきっかけに、お互いの事をもっと知り合える機会を作っていきたいと願っています。

彼のように日本人と結婚し日本に定住する在留資格を取得し、日本人と同様の権利を持つことはほんの一部だと思います。すべての技能実習生が彼のように、住居や給与に対して同じ作業に従事する日本人と「格差」があるわけではありません。今の技能実習生は“同じ作業に従事する日本人の給与と同等かそれ以上”と決められています。

ですから2015年11月に技能実習生として農業に従事していた時期は、旧技能実習制度の時ですので給与は大抵が最低賃金、受け入れ企業から提供される住居についても全く決まりもなく倉庫を改装した部屋に住む、トイレもないこともあったかと思います。

でも現在は違います。新技能実習制度になり給与や提供される住居には細かな規定があり、それを守らない場合は技能実習機構からの処分があります。彼のような悩みではないかもしれませんが、母国を離れて日本で生活していると、たくさんの悩みや不安があると思います。一人で悩まず同じ趣味を持つ者同士が、スポーツをしながら交流し悩みを打ち明けられれば素敵だと思いました。

これからはベトナム人同士だけではなく日本人と交流を深め、お互いの生活のこと仕事の事、もちろん共通のスポーツであるサッカーの事などを話、親交を深めていただきたいと思います。

本日も最後まで読んでいただき、
ありがとうございます。

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